2007年11月02日

いかにも劇団四季らしい(?)『ジーザス・クライスト=スーパースター』

みんなが名曲だと言っている『千の風になって』。もちろん、私も名曲だと思う。いつもではないけれど、たまに心の調子とシンクロする時に、聞いていて思わず涙が出そうにもなる。やっぱり名曲でしょうな。楽曲としてはね。

でも、実はワタシ的にはどうも馴染めないものがある。それな何かといえば、歌い手である秋川雅史である。

秋川雅史ファンの方には申し訳ないけど、あの人の声は、どうも私は馴染めないのだ。ハッキリ言って、全然、好きではない。

なぜかと言うと、「朗々」とし過ぎているように思えるからだ。

「あれがクラシックの唄い方だ」といわれれば、確かにそうなのだろう(よく知らんが)。たぶん私は、クラシックの歌手よりも、場末のブルースバーで、声の潰れたシンガーの歌声に、より感情移入する人間なのだろう。だから、秋川の『千の風になって』には、最初に聞いた時から、どうも違和感があったのだ。

先日、久しぶりに劇団四季の『ジーザス・クライスト=スーパースター』を見たのだが、実は秋川の『千風』に感じる違和感と同じ感覚を、はからずも感じてしまったのである。
 
 
私が『ジーザス・クライスト=スーパースター(以下、「JCS」と略す)』を見るのは、今回で3度目である。91年に「ジャポネスク・バージョン」、94年に「エルサレム・バージョン」、そして先日は再び「ジャポネスク・バージョン(以前は歌舞伎バージョンとか江戸版とかいわれていたが)」である。

私の『JCS』体験は、中3の時に聞いた映画のサントラが原点である。サントラ・レコードでかぶれて、1年後ぐらいにやっと映画を見て(公開が遅かった)、そのはるか後までも、ビデオソフトが出たら買い、レーザーが出たら買い・・・と、ずっとずっと楽しんできた。つまり私の『JCS』のデフォルトは映画にある。

映画の次に、ディープ・パープルのイアン・ギランがイエス役を歌った、ロンドン・オリジナル盤(そもそも『JCS』は、このレコードが原点。舞台劇ではなく、単に2枚組みアルバムとして発売された)、そして四季と進んでいる。

音がアテレコされる映画と、その場で役者が発声する舞台では、もちろんいろんな部分で違いが生じて当たりまえなのはわかっている。

たとえばクライマックス近く、「ピラトの裁判」のところでポンティオ・ピラトがイエス・キリストに「なぜお前は何もしゃべらない? 私の手にお前の命が委ねられているというのに。(中略)イエスよ、お前は助かりたくないのか?」と、イエスの耳元で囁くように言う(歌う?)場面がある。

映画では、本当に、二人だけの会話として、囁くように歌われている。それによって、イエスに死を命じること恐れるピラトの心情と、ローマ総督として立場にはさまれた彼の苦悩が、見ている私たちにも理解できるのである。

舞台では当然だが、囁く声では観客には聞こえない。だからといって、それを朗々と歌うのは、また別ではないだろうか?

しかし、前の2回はこんなに「秋川的」だったかな? としばしば考えてみた。ちなみに前の2回とも、イエス・キリストは山口祐一郎である。それほど朗々さに違和感を感じた記憶はない。むしろ、心からしっかり楽しんだと言っていい。

では、キャストが違うからか? しかしこれは山口祐一郎だから、柳瀬大輔(今回のイエス)だからという違いではなく、もっと根本的なところにポイントがあるように思える。

ひとつには、四季が近年、急激に膨張しているという理由があるのではないか。

今、日本全国で8箇所ほどで、四季は上演されているはず。こんな劇団、他にはないだろう。だいたい、できないだろうし。たぶん四季以外にできるとすれば、吉本ぐらいしかないだろう。

そして、8箇所の多くが、お得意のミュージカルである。そうなれば、一番の問題が浮かび上がる。劇団内の役者が足りているのか?ということだ。

問題解決の方法は、そう難しいものではない。足りなければ調達すればいいだけ。

四季なら、「入りたい!」という人は山ほどいるだろう。しかし、即戦力・・・つまりミュージカルで歌える人、踊れる人・・・というのは、素人衆にはあまり期待できない。そうなると、歌い手の場合、声楽をやっていた人を主体に集めることになる・・・。

それがクラシック的朗々化の一番の原因ではないかと思う(あくまで私の個人的見解)。

しかしね、考えてみてください。

『JCS』は元来、ロック側からのオペラへのアプローチ作品であった。初のロックミュージカルである『ヘアー』もそうだし、『JCS』よりも以前に「ロック・オペラ」という発想を持った、ザ・フーの『トミー』にしてもも、まず最も斬新で意味があったのは、それが「ロック」であったことだろう。

つまりロック的であるかないかは、ロック・オペラとしての生命線そのものであるはず。私がかつて映画『JCS』に熱狂し、深く深く傾倒したのは、それがロックだったからである。

それがクラシック的声楽に乗っ取られた印象がある。

今回、マグダラのマリアを演じた女優さん(名前失念、失礼!)は、まぁ声楽的には上手いかもしれんし、歌唱技術とか声域で比べればイヴォンヌ・エリマンよりも上かもしれんが、じゃぁイヴォンヌ・エリマン以上の感動を私に与えたかといえば・・・まぁ、大人だから答えは言わないけどね。

今の四季の『JCS』は、もう「ロックオペラ」ではない。だからと言って「オペラ」でもない。「じゃぁ、何なんだ?」と言われたら、どう答えようか・・・。




!!!わかったぞ、ロックオペラでもなく、オペラでもない。それは「劇団四季」そのものだ!

なるほど、私が違和感を感じた最大の理由は、「劇団四季臭さ」だったんだ。なんだ、そうか。はぁ〜。




最後にひと言。高いなぁ・・・四季は。11月からの「エルサレム・バージョン」は諦めた私であった。
この記事へのコメント
熱いなぁ「ロックオペラ」。有名なのにまだ観たことありません。
過去、近いもんではタイトル忘れましたが
オペラ座の怪人のロックものが印象に残ります。
やはり四季は所詮ミュージカルが根っこだからロックオペラにはならんでしょうね・・・
もしロックが歌える日本人なら誰がいいでしょう?

あ、そうそう「千の風・・・」は加藤登紀子バージョンが
なかなか良かったですかね。
Posted by でび at 2007年11月03日 09:20
でび さま

コメントありがとうございます。

まぁ四季は四季の功績も確かに偉大なんだろうけど、基本的にはロックにはならんですな。

イエス・キリストではないけれど、
前にヘロデ王の役で、
もんた&ブラザーズのもんたよしのりが
出てましたよ。
僕はあまり好きじゃなかったけどね。

「千風」、加藤登紀子のバージョンは
聞いたことないです。そうですか、良かった
ですか、また一度、聞いてみたいもんです。

またコメントくださいね。

という前に、僕の方でいろいろ日程を
決めなあきませんな。ごめんなさい。

また連絡しま〜す。
Posted by taney at 2007年11月04日 14:26
「千の風になって」!

歌ってる人???うちゃんも、あんまり好きじゃないですねぇ。

なんかー、歌ってるとこが・・・なんかわからんけど。
Posted by うちゃん at 2007年11月05日 22:15
お久しぶりです。
オタク社長改め、いまはこちらでひっそりやってます。
お元気そうでなによりです〜♪

ボクもあの『千の風になって』は好きではありません。
何がイヤって、あの人の顔が怖いんです。
『なんでもっとやさしい顔で歌えないんだろう』って思っちゃう。
特に2番はあの顔で聞くとしらけちゃいますね。
『夜は星になってあなたを見守る』とか、やっぱりそういう顔で歌ってほしい。

ボクは長いこと合唱の世界にいたので当時もよく指揮者に言われたんですけど、表情って声に出ます。
怖い顔したら声も固くなる。
やさしい顔したら声も柔らかくなる。
あの人は『オレはクラシックの歌手だ』って自負があるのかもしれないけど、『表現者』としてはどうかなーと思ってしまうボクでした。

久々に登場して長々とごめんなさい!
また遊びにきまーす♪
Posted by 音風景 at 2007年11月06日 07:41
音風景さま

コメントありがとうございます。
ご無沙汰していてすいません。

>何がイヤって、あの人の顔が怖いんです

あ、わかります、わかります。
おっしゃる通り。なぜ、もっと歌の心を
伝える表情で歌えないんでしょうねぇ・・・

だから、ちょっと近づきがたくなるのかも。
自分にとっても、聞き手にとっても、
損をしているような気がしますね。

また、ブログの方にもお伺いします。
これからもよろしくお願いします。
Posted by taney at 2007年11月06日 10:33
うちゃん

そうか、うちゃんもきらいなのか。
まぁ、きらいなものは、無理して聞く必要は
ないよ。

でも、べんきょうはきらいでも、
やらなきゃダメだよ。
Posted by taney at 2007年11月06日 10:36
・・・・・・・・・、勉強・・・・・・・・。
無理して聞かないのは、分かった。
でも勉強はねぇ。
今日、新撰組、見ました。
Posted by うちゃん at 2007年11月06日 19:09
うちゃん

最近、新撰組、好きやねぇ?
DVDに録っておいてよかったよ。

たまにはちゃんと勉強するように。
Posted by taney at 2007年11月07日 09:59
「千風」に私も違和感を感じるものの一人です。
Posted by kemukemu at 2009年04月08日 18:05
kemukemuさま

コメントありがとうございます。

長らく自分のブログに立ち寄っていなかったもので、すっかり失礼いたしました。

ありがとうございます。

そうですよね、『千風』に違和感を感じる人が
他にもいらっしゃって、心強い限りです。

またよろしくお願いいたします。
Posted by taney at 2009年04月22日 15:43
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