2011年02月09日

最近、読んだ本

久しぶりに、私がここ何ヶ月かで読んだ本をご紹介しよう。といっても、ほとんど新書ばっかだなぁ・・・。


■『ビートルズとボブ・ディラン』
 中山康樹(光文社新書)


たぶん「ディランはよく聞くが、ビートルズはほとんど知らない」と言う人はあまりいないと思うが、「ビートルズはよく聞くが、ディランはほとんど知らない」と言う人は、結構いるのではなかろうか。

この本は、後者向け・・・と言えば言えるかも。ディランをよく聴いて、彼について書かれたものを読んだことがある人なら、今更な話も多い。「そりゃまぁ、そうだろう」という話も多い。もうちょっと変わった視点からの分析もあるのかな、と期待していたが、なんだか”尻切れトンボ”な感じが拭えない。まぁ、時間つぶし程度にはなるだろう。それ以上を期待するなら、読まない方がマシ。他に読むべき本は、いっぱいありますから。


■『創られた「日本の心」神話
 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』
 輪島裕介(光文社新書)


よく「演歌は日本人の心」といわれる。そして我々も、それを何の疑いもなく受け入れている。だが、著者はそれが本当なのかどうかをひも解いてゆこうとする。だが単純に肯定・否定するのではなく、「いつ、いかにして、いかなる意味で、誰にとって『演歌』が『伝統的』『日本的』とみなされるようになったのか」(348ページ)をテーマとして論を進めて行く。

著者は「演歌」の由来から日本の歌謡曲史(特に戦後)、さらには広範な大衆文化を分析することで、かつては低俗なものとして知識層からの蔑視と非難にさらされてきたレコード歌謡が、「演歌」というキーワードを得ることにより、価値観を逆転させ、『国民文化』にまで引き上げられた、その歴史上の流れを明確にしていく。

秀逸な「大衆音楽史」になっているだけでなく、戦後の日本の大衆文化史論にもなっているという点で、極めて優れた著作だと思う。


■『物語 フランス革命
 バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで』
 安達正勝(中公新書)


私は東西和を問わず歴史が好きなのだが、中でも特に好きなものを3つあげよといえば、必ず入ってくるのが「フランス革命史」なのである。だから、本格派学術書はちいと大変なので買わないが、それ以外の本・・・新書あたりがいいですね・・・は、たいがい買って読むのである。

新しい本を読むたびに、新しい発見がある。学術的な解明が進むからでもあるし、また、違った視点からの新しい試論もあるからでもある。そして、そんなものに触れるたびに、いわば「目ウロコ」状態になって、私は歓喜するのである。

今回の前掲書について言えば、とにかく読みやすい。「物語」と銘打たれている通り、ひとつひとつの人物、ひとつひとつのエピソードが流れるように頭に入って、ちょっとした快感である。で、やがてはそのひとつひとつが大きな流れとなって、改めてフランス革命という歴史的大事件を見事に描き出しているのである。

時間がない人は、最初の「序章 フランス革命とは」だけでも読んでおくといい。これだけで文字通り、フランス革命とは何だったのかが理解できるし、だいいち、極めて感動的な文章でもある。入門書としてもピッタリだ。


■『ベルリン <記憶の場所>を辿る旅』
 アンドレーア・シュタインガルト(昭和堂)


ベルリンに残る歴史的な遺構やモニュメントを案内する本なのだが、よくある旅行ガイドとは全く趣を異にする。それは章のタイトルを見てもある程度、わかるだろう。

「皇帝と革命家のベルリン」「ナチスのベルリン」「社会主義統一党のベルリン」「分割されたベルリン(壁に囲まれた西側)」「再び統一されたベルリン」・・・。

紹介されているスポットも、ローザ・ルクセンブルグが虐殺された揚句、死体が投げ込まれていた運河だとか、ナチスが要人からピロートークで情報を得るための娼館跡だとか、アウシュビッツ行きの列車の始発駅だとか、60年代後半、学生デモに参加していた大学生が警官に射殺された場所であるとか、どちらかというと現代人にとっての苦い追想の場所、つまり「負の遺産」と言えるような場所がほとんどである。

このような人類の「負の遺産」もしっかり認識して、我々はこれからの新しい時代に向けて生きて行かねばならない・・・

というステレオタイプ、というか優等生的なコメントもできるだろうけど、優等生ではない私は、ただひたすら、下世話に「へ〜、ローザ・ルクセンブルグの死体が捨てられた場所なのかぁ・・・ちょっと見てみたいナ」と思うだけだ。

そういう意味では、華やかな観光スポットも、この本に挙げられているような「負」のスポットも、「等価」なものとして捉えている私自身がいる。ただただ、「見てみたい」という観光欲求を振りかざしている自分が。

というわけで、この本の読後感は、凄く残酷である。

観光名所と歴史的汚点、好奇心と反省心。・・・悲惨なスポットの解説を読みながら、興味本位で下世話な想像を働かせている自分を発見するからだ。要するに、この本は、現代人に向けられた、両刃の刃物なんだろうな。

ところでこの本を読んで、ちょうど21年前、ベルリンに行った時の記憶が鮮明に甦ってきた。それは、また次の機会にこのブログで述べようと思う。


以上、ここ数カ月の間に、私が読んだ本の感想である。
この記事へのコメント
フランス革命、僕はそんなに詳しくないのですが、ロジャーウォーターズのオペラ「サ・イラ」が、フランス革命を題材にしているので、こんどCD2枚組&DVD持っていきますね。
Posted by おか at 2011年02月10日 07:33
おかさま

コメント、ありがとうございます。
「サ・イラ」は一度、聞いてみたかったんですよ。ロックじゃないけどね。

楽しみにしてます。
Posted by taney at 2011年02月10日 11:57
フランスと聞いて「フランス書院」としか浮かんでこない俺って…。
Posted by mizocchi at 2011年02月10日 15:46
mizzochiさま

>フランスと聞いて「フランス書院」としか浮かんでこない俺って…。

まぁ、「汝自身を知れ」とだけ、言っておきましょうか。
Posted by taney at 2011年02月10日 20:27
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