2010年04月27日

置き薬

前回のブログでも書いたのだが、超零細企業のわが社には、置き薬が2つある。

まずひとつ目。まだ会社を立ち上げて間もない頃、元気そうなセールスマンが飛び込みでやって来て、置いてった。初めて聞く会社だったけど、まぁ、あっても別に困らないし、むしろ急に入り用になることもあるかと、置いてもらうことにした。ただし「少人数なんで、使うことないかも・・・」とひと言加えて。

ふたつ目。それから1、2か月後、配置薬としては有名なところの、やたら押しが強そうなセールスマンがやってきて、無理矢理置いてった。「使わへんよ、ホンマに」と言うと、「いいですよ。とにかく置いてください」と言ったので、私としても、何があっても使わないでやろうと思った。


ひとつ目の方は、たま〜に使う。といっても、主に絆創膏。こういう仕事をしていると、割と紙なんかでよく手を切るものなので。しかし、そんな分も含め、この4年ほどで使った金額はたぶん1000円もないはず。


ふたつ目の置き薬は、最初の誓い(?)通り、本当に使わない。意地でも使わない。というか、使う時はひとつ目を使うし。

それでも、定期的にセールスがやって来て(来るたびに、人が変わっているが)、古い薬を新しいのに入れ替えていく。全く使わないから、私は一銭も支払わない。それでも、何かしらんがレシートみたいなものだけ打ち出し、セールスマンはちょっと肩を怒らせているような風情で帰って行く。

そんな彼の後ろ姿を見ながら、「あの人はいったい、何をしているのだろうか?」と思う。何を生み出すこともなく、ただ時間と古い薬品だけが消費されている。果たしてこれは、「経済活動として成り立っているのだろうか?」とさえ思う。

そうやって、ポツンとデスクの上に取り残された、たぶん使われる見込みのない薬箱を見ているうちに、私はふと思ったのだった・・・。


・・・あれは、私の作った企画書ではないか・・・と。


この一年ほどの間、つまり「100年に1度の大不況」と言われたこの1年の間、「通ったら、費用を払う。制作も頼む」といわれて作って、そのままになっている企画書が、いったいいくつあったことか。あぁ、あの企画書も、この「置き薬」と変わらんやんか・・・と。つまり「置き企画」。

私は結局、あの配置薬会社のセールスマンと同じことをしているのだなぁ、としばし考え込んでしまった。

いやいや、被害者ぶるのはやめよう。よくよく考えれば私自身が、デザイナーさんなど日頃協力してくれている人に、この1年で何度「通ったら、払う」と無理を言ってきたことか。

何のことはない、自分もあの”置き薬”のスパイラルにはまり込んでいる張本人ではないか。たぶん、こんなことは他の業界でも山ほどあるんだろうなぁ、他の業界なんてよくしらないけどさ。

ひょっとすると、「経済活動として成り立っているのだろうか?」どころか、日本の経済活動の根幹かもしれない。いや、さすがにちょっと大袈裟か?

使われるアテのない薬箱と企画書、それは「将来、いつか使われるかもしれない日のための希望」として存在しているのではなく、たぶん「何としても今日を生き残ってやる」という執念の残滓として存在しているように思える。

しかしなぁ、薬は使われなくても薬であり続ける(古くなって使用期限は切れるけど)が、ロクに読まれず机に積まれただけの企画書だなんて、ただの紙、いやゴミ同然だからなぁ、余計に始末が悪いよね。自分で選んで入った業界だから、しょうがないけどね・・・。


あぁ、そうだ、今日は火曜日、ゴミ出しの日だ。ごみ袋、買ってこなくっちゃ。
posted by taney at 13:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 時事
この記事へのコメント
ひょっとすると、僕は「置き亭主」かもしれない(-_-;)
Posted by mizocchi at 2010年04月27日 15:21
ははははは。
顧みられることもなく過ごしているわけやね。

「置き亭主」なら、ボクが回収して新しいのと取り替えといたるわ。
Posted by taney at 2010年04月27日 19:15
お久しぶりです。
「置き薬」「置き企画」・・・。

「置き写真」が必要でしたらどうぞ!!

>「何としても今日を生き残ってやる」という執念の残滓として存在しているように思える。

いつまでもそう思えるようでいたいと思いました。
Posted by けんぼう at 2010年04月28日 09:03
けんぼうさま、お久しぶりです。
ご無沙汰していて、すいません。

ご覧のような状況で、なかなか厳しいですね。
何かありましたら、また宜しくお願いします!
Posted by taney at 2010年04月28日 10:57
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