2011年06月22日

オーヴァー・ダビング

高校の時、マイク・オールドフィールドの『チューブラベルズ』を聴いて触発され、オーヴァー・ダビング、つまり多重録音に凝った時期がある。といっても1970年代中ごろの話で、いわゆるMTR(マルチトラックレコーダー)なんてない時代の話である。

MIC端子が左右独立したカセットデッキとモノラルのテレコの2台を使って、今から考えるとアホのような方法でやっていた。

まず、デッキに基本となる音(たいていはリズムギター)を録音する。

録音したテープを、今度はテレコにセットする。それからテレコのイヤホン端子とデッキのMIC端子をコードを使って接続。

デッキのもう片方のMIC端子にマイクを接続。デッキのRECボタンを押すと同時に、テレコの再生ボタンを押し、ダビングスタート。

デッキに接続したヘッドホンでテレコからの再生音を聴きながら、新たな音(リードギターと歌など)をマイクに向かって入れる。

これを幾度か繰り返すことによって、オーヴァーダブを行っていたのだ。まぁ、こんなだから録音状態は悪い。しかもデッキとテレコのワウフラッターが違うもんだから、音程も微妙にズレていくという・・・。

一番最後に録音した音が片チャンネルを占め、それ以外の全ての音は、もう片チャンネルに押しこまれているという。非常にヘンなステレオ録音であったが、それでもオーヴァー・ダビングできたことがうれしくて、友達に聴かせまくっていたっけ・・・。1970年代の奈良の田舎の音楽少年は、こうやって自作曲づくりに励んでいたのでした。

で、今日ご紹介するのは、かつての奈良の田舎の音楽少年の心に火を点けた(Light My Fireという感じですね)マイク・オールドフィールドの『チューブラベルズ』のスタジオライブ映像。



昔、近畿放送(現:KBS京都)でやっていた『ポップス・イン・ピクチャー』という、日本のMTVのはしりのような番組で見た記憶があって、「すげぇなぁ〜」と感動したものである。

しかも当時はわからなかったのだが、今観ればカンタベリー系の大物ミュージシャンがメジロ押しなのである。

パーソネルを列挙すると・・・

作編曲、アコースティックギター&ベースは、言うまでもなくマイク・オールドフィールド。当時まだ20歳前の青年である。

ギターは、スティーブ・ヒレッジ(ゴングなど)、ミック・テイラー(ローリング・ストーンズ)。ギターとベースにフレッド・フリス(ヘンリー・カウ)。

キーボードとギター、ベース:ジョン・グリーブス(よく知らない・・・)。そしてキーボードにティム・ホジキンソン(ヘンリー・カウ)とマイク・ラトリッジ(ソフト・マシーン)。おまけにオーボエがカール・ジェンキンス(ソフト・マシーン)とは! 今やイギリス音楽界の大物!

さらにパーカッションはピエール・ムーラン(ゴング)。後期ゴングを支えてた人ですよね?

その他、フルートにジョン・フィールド、テリー・オールドフィールド(親戚か?)、ジェフ・リー。

ここにミック・テイラーが居るのが面白いですな。彼らしいと言えば、彼らしいけど。

これは歴史的なセッションなんだろうと思う。これがいつでも自由に見られる時代になって、私は本当にうれしい。
posted by taney at 21:40| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽

2011年06月20日

いずこの国も・・・

危機感を募らせる地方自治体と、"建前"を盾に決断の鈍い中央政府・・・といえば原発問題に揺れる我が国のことかと思うが、どっこいフランスだって似たようなものだった。下記の記事を読んでいただきたい。

大麻の合法化を提案するパリ郊外の市長」(OVNI 6月20日より)
http://www.ovninavi.com/700_profil

フランスのとある街の市長が、若者を蝕む麻薬組織の暗躍にケリを付けるため、フランス国軍の駐屯と大麻の合法化を提案したそうだ。

非合法だから裏組織が利権とするわけで、合法化すれば裏組織の旨みもなくなるだろう、ということならしい。

まぁ極端といえば極端だけど、ぐちゃぐちゃ言ってるだけで、なかなか成果のあがらない政府の言説よりは、はるかに分かりやすい主張だと言えるだろう。

本当は、わかりやすいだけではダメなんだけど、政治にグダグダが続く時は、このようなわかりやすい極論がまかり通ってしまう。かつてヒトラーがあれほどの人気を得て政権を取ったことも、無理ないことかと思う。

「極論」って、とても魅力的で耳当たりがよくて、溜飲が下がるものなんだもん。それだけダマされることも多いというわけだ。

しかし、件の市長のセリフ、「大部分が保守的かつ反動的な政治家たちは、現実に直面することをおそれている」は、まるで橋下知事が言ってるみたいだな。言説の"キレ"がいいところが、よく似ている。

大麻合法化に賛同するセヴラン市民が、たぶんヤマほど出てくることだろうと思う。まぁ、酒やタバコより害はない、という人もいるみたいだし。
posted by taney at 11:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事

2011年06月09日

よっ、ご同輩!

少し前のとある日、電機量販店まで買い物に行った時、妻が突然、こう言った。

「アロハの前、閉めっ!」
「んぁ???」と私。

その時私は、ユニクロで買った企業コラボTシャツ(写真)を着ていて、上に軽〜くアロハを羽織っていたのだが、妻の言葉につられ思わずアロハの前を閉めてしまったのであった。

uniq.jpg

「な、何やいな?」と私。
「あんたと同じTシャツ着てる人がおったし・・・、ちょっと恥ずかしやろ?」と妻。
「んんん、そやなぁ、恥ずかしいかな・・・」と私。

そうなんだよね〜。どこかで同じ服を着ている人に会うと、妙に恥ずかしいんだよなぁ。工場生産品なんだから、同じものって山ほどあるし、だから着ている人も山ほどいるわけだし、道ですれ違うことだってあるはずだし・・・。むしろ同じ好みを持つ同士ではないのか。なんでだろう〜・・・。

すれ違った人に、ふと「同好の士よ!」というシンパシーを感じる場合も、もちろんある。

あれは大学の頃だろうか。京都の大きな書店の中をぐるぐるしていた時、ふと前から来た見知らぬ人と目が会った。その時、私は「季刊 邪馬台国」※1という雑誌を持っていたのだが、チラと見るとその人も「季刊 邪馬台国」を持っていたのである。

向こうさんも、私が「季刊 邪馬台国」を持っていることに気づいたようで、お互いちょっとニヤッという表情を見せ、軽く会釈しながらすれ違ったのであった(なんか、フロイドの『エコーズ』の歌詞※2みたい)。

こういう場合は、本当に「よっ、ご同輩!」と快哉したくなるのだ(心の中では、してますね)。

でも、服はダメなんだよなぁ。恥ずかしいんだよなぁ。

あ、でも恥ずかしいどころの話ではない時もあったなぁ。怒りを感じそうになる時もあったなぁ・・・。

昔、ユニクロにアンディ・ウォーホールのバナナ・・・というより、ロック・ファンにとっては「ヴェルベット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ」のジャケットといった方がわかりやすいだろう・・・のTシャツが出ていて、私も買って、結構気に行って着ていたのだった。

しかし、ある時、私は出逢ってしまったのだ。近所のとあるスーパーで。このTシャツを着たオバサンに。

そのオバサンは非常にふくよか過ぎるご体型であられ(穏便表現)、なのに普通サイズの例のTシャツを着ているものだから、せっかくのバナナが横に大きく、歪んでしまって大根みたいになっていて・・・。

唯一の救いであったのは、その時、私がバナナTシャツを着ていなかったということだけ。

それ以来、私は一度も、バナナTシャツに袖を通したことがないのであった。orz

ま、道を歩く際は、周囲の人の服装にも注意しておきたいものですね。(つまらんオチで、すいません・・・)


※1:もう廃刊したかと思ったら、まだ出版されていた。大したんもんです! 興味ある方は「こちら

※2:ピンク・フロイド「エコーズ」の2番の歌詞より
  (lyrics by Roger Waters)
  Strangers passing in the street
  By chance two separate glances meet
  And I am you and what I see is me 
  
posted by taney at 15:29| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2011年06月07日

ジャコパスが、夢に出た

とても不思議なんだけど、この前の日曜、朝遅くまでウダウダ寝ている時に、夢を見た。その夢に、なんと私が敬愛するベーシスト、ジャコ・パストリアスが出てきたのだ。

jaco01.jpg


場所は、どこかわからないけど、ひなびたライブハウス。あるいはむしろ場末のナイトクラブという感じ。うらびれた雰囲気さえ漂っていた。客はわずか20人ぐらいだったと思う。

「ジャコパスも、とうとうこんな場末でやるようになったんか?」と夢の中の私は嘆いている。もうジャコは、全盛期のジャコではないことを、夢の中の私も知っているようだ。

さんざん待たされた揚句、なんかヘンな司会者の紹介で、とうとうジャコが出てくる。客は、私も含め総立ちだ(20人ほどしかいないけど・・・)。

でも、ジャコはなかなか、マトモに弾こうとはしない。ベースに水(?)を掛けたり、酒のコップをボトルネックみたいにして弾いたり・・・。そのたびに、彼のフレットレス・ベースからは、煙のようなものが沸き立って来る。

私は隣の客と話している。「やっぱりジャコは、もうダメなんじゃないかな?」と。

隣の客が言う。「マトモに弾けそうもないもんな」と。

そうこう言っている間に、ジャコは突然、消えてしまう。彼が去った舞台の後ろには大きなディスプレイがあって、CG処理されたみたいなジャコの映像が延々と映っている。

やがて司会者が再び出てきて、第一部が終わったことを告げる。

これが本当のライブなら、客は暴動を起こしそうなもんだが、さすが夢の中というか、誰も文句など言わず、ひたすら「ジャコは凄いよね」みたいなことを言っている。

私も、隣の人と「すごいなぁ、ジャコがこんな目の前で見られたよ」と喜んでいる。でも、同時に「もうジャコはマトモに弾けないんだな」とも語りあっている。

その後、ステージには、ヘタな手品師とか水芸の芸人とか、ヘンなボードビリアンみたいなのが次々と出てくるものの、肝心のジャコは、全く出てこない。

そして、私はそんな芸人たちを見ながら、こう言うのだ。

「そうだよな、ジャコは、ほんのついこの前、死んだばかりなのだから、もう出てこれるはずがないもんな・・・」と。

そして、ここで目が覚めた。

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しばらく状況が把握できなかったけど、5分ほどベッドで汗をかきながら寝そべっている間に、ようやく冷静になってきた。そして、一生懸命、考えた。

「ジャコが死んだのって、いつだったっけ?」

もう一人の自分が答えた。「あれは・・・・確か、1987年の9月・・・」。もう24年になるのか!・・・。

そしてジャコがもし生きていたら、今年の12月で60歳・・・。

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最近、とんとジャコも聴かなくなってしまったので、怒って出てきたのかな・・・。そうだとしたら、むしろ嬉しいが・・・。

でも、ヘンというか、嬉しいというか、悲しいというか、虚しいというか、さびしいというか、とても奇妙な感覚の残る夢だった。もう一度、見たい気もするけど・・・。

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ジャコ・パストリアスをご存じないという方に、彼がどんなベースを弾いていたか紹介します。
私が最も好きで、最も影響を受けた曲(音声のみ)。


posted by taney at 16:30| Comment(11) | TrackBack(0) | 音楽

2011年06月06日

ロイ・バビントンとフェンダー・ベースVI

たぶん「ロイ・バビントンって誰?」という人がほとんどだろうが、もしバビントンを知っているとすれば、それはソフト・マシーンやカンタベリー系のコアなファンに違いあるまい。

バビントンは、中期のソフツにダブルベースでゲスト参加。正規のベース担当だったヒュー・ホッパー脱退後、正式に加入し、同時期に在籍していたアラン・ホールズワ―スやジョン・エサリッジといった凄腕ギタリストと、丁々発止のプレイを繰り広げていたベーシストである。

最初聴いたときから、音数も多くて非常に"達者"なベースを弾く人だなぁ…という印象があり、ただ個性的かといわれるとそうとも言えず、ホッパーの方がはるかに個性的で魅力的なフレーズを弾いていたように思う(だから"達者"という表現を使ったのだが)。

ソフツの前はミラー兄弟やピップ・パイルの「デリヴァリー」にいたり、ロバート・フリップの盟友でキング・クリムゾンのレコーディングにも参加していたキース・ティペットの「KTG」、あるいはイアン・カーの「ニュークリアス」にもいたそうだから、そういう意味ではイギリスのジャズ・ロック界で相当なキャリアを積んでいる人である。

だから、確かに上手い。それは間違いない。でも、何かそれだけなんだよな〜〜〜と思っていた。

しかし、Youtubeでバビントン在籍時のソフツの映像が見られるようになって、ぶっとんだことがある。彼が使用しているベースである。何せフェンダーベースVIなのだ。それを物凄いスピードでツーフィンガーで弾いているので、ぶっとんだのである。

↓これがフェンダーベースVI。
fender_bass6.jpg

写真でお判り頂ける通り、フェンダーVIは通常のベース…例えばプレシジョンなど…とは異なり、6弦ベースなのだが、ショートスケールで細い弦を使用する。つまりベースというよりギターである。バリトン・ギターとして使う人もいるほどだ。

というわけなので、ギタリストがたまにベースを弾く時に使ったりすることが多い。

ビートルズの『レット・イット・ビ―』でジョン・レノンが弾いていたベースが、このフェンダーVIである(映画を見れば、すぐわかる)。この例と同様、ポール・マッカートニーがピアノを演奏する際は、ジョージ・ハリソンがフェンダーVIを弾くこともあったようだ。

ギター仕様なので、弦間は狭い。通常のベースでのツーフィンガーに慣れている人にとっては、ちゃんと弾けるものではないと、普通なら思う。

それがバビントンにかかれば…。まぁ試しに以下の2つの動画を見てみてください。

ソフト・マシーン「タリーシンの物語」。ギターは名人ジョン・エサリッジ。


そして、ソフト・マシーン「予期せぬ出来事パート1」。ギターは天才アラン・ホールズワース。


なんでフェンダーVIなんだろうなぁ? ひょっとして手が小さいのか? 指が短いのか? しかし、この人はダブルベースも弾いていて、正統派のジャズなんかも演ってたようだし…。ジャズベでも充分、問題なく弾きこなせるんじゃなないかと思う。

あるいはトレモロアームが好きなのか? まぁ、それで楽器を決める人がいても不思議ではないが…(上記の動画でも、トレモロアームを目いっぱい使ってるし)。

専任ベーシストでフェンダーVIを使っている人、といえばジャック・ブルースがそうで、クリームの時代のビデオとか写真でわかるのだが、下記の動画での「Crossroads」を見ても、メインベースとしてはやはり通常の4弦ベースである。



ザ・フーのジョン・エントウィッスルも使っていたようだが、未見である。しかしどちらにせよ、バビントンのように弾く人は、本当に珍しいと思う。

それがわかってから、それまで単に"上手いけど個性なし"と思っていたバビントンが、急に凄いベーシストに思えてきた。楽器と音楽性は、ホントはちぃと違うんだろうけどね…。

まぁまぁ、ファンというものは、本当に、勝手なものである。でもこれを見て、ちょっとフェンダーVIが欲しくなってきた。
posted by taney at 19:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 音楽

2011年06月03日

もう6月、衣替えの季節ですね

何か怪しげでヘンな勧誘の電話に、「結構です」と答えたら、セールスから「あなた、了承したでしょう!」と契約を迫られる…

まぁ、よくある話ですな。しかし、昨日某所であったゴチャゴチャは、まるきり、これと同じ程度のおはなしではないか。

いったいぜんたい、何やってんだが…。いい大人が、しかも地位もあるいい大人が、「言った」「言わない」の低レベル論争を、これからも延々と続けるのかと思うと、うんざりする。

梅雨が来て、夏ももうすぐだというのに、あの世界はいつまでたっても衣替えができないようで。

もうあまりのバカバカしさに感動して、これ以上何も言うことがありまへん。

こういうのを「菅無理よう」じゃなかった、「感無量」というのだろうか…。
posted by taney at 11:10| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事